現役棋士の着手を一刀両断〜シューコー先生の次の1手は?

黒はM、白はN棋士(現在は両者九段)。
黒19の着手を示して下さい。「戦いの前に」とのヒントがあります。

60代で亡くなった知人の書棚で見つけた棋書を、家人から譲り受けた。本書奥付には1991年9月第3刷とあるが、挟み込まれていた新聞切り抜き棋譜(第19期名人戦挑戦者決定リーグの大竹・武宮戦、現在の山下敬吾名人は第36期)から推測すると、知人は本書購入当時、棋力は初段、年齢は50代のそれぞれ一歩手前だったろうか。

著者はご存知、藤沢秀行名誉棋聖。羽根泰正から「王座」位を奪回(1991年)、さらに小林光一を相手に防衛を果たし(1992年)、史上最高齢(67歳)でタイトル防衛記録を塗り替える"最後の輝き"を見せた頃の発刊だった。内容は、隅の定石、守り、攻めの各局面での「石の形」を一問一答形式で解説。日中の第一線棋士を中心とする公式手合いを俎上に載せ、今ではテレビ解説などで人気を高めた高段棋士(当時の段位は不詳)の着手を「何たる手、碁を知らない人みたいだ」などと切って捨てる明快な毒舌がいかにもシューコー先生だ(棋士の段位と敬称は略)。

日本棋院が発行する『週刊碁』はこの春ごろから、棋士130人が選んだ「尊敬する棋士・好きな棋士」を紹介しているが、7月23日号までに10位から4位まで発表した。それによると、4位は本因坊秀策、同率5位に坂田栄寿と本因坊道策、7位加藤正夫、8位岩本薫、9位本因坊
秀和、10位本因坊秀栄。ベスト3は未公表だが、私見では3位は多数の棋士を育てた木谷実、2位は呉清源、そしてトップは藤沢秀行だろう。晴れの発表の日を間近かに控え、本ページを時折お訪ねいただく変人諸兄に「シューコー先生が確信する次の一手」に挑戦していただきたい。

登場棋士は後輩のプロ棋士と目をかけられた院生たち。ほとんどの場合は口酸っぱく叱られ、ごくたまに少し褒められる有様を高みの見物と洒落込みたい。まな板に乗るのは順不同に、加藤正夫、橋本昌二、安部吉輝、依田紀基、高尾紳路、趙善律、結城聡、坂井秀至、三村智保、小松秀樹、今村俊也、横田茂昭、森田道博、藤沢一就、剣持丈ら。女流では青木喜久代、吉田美香、中国棋士では聶衛平、劉小光、馬暁春ら多士済々の顔ぶれ(多過ぎて全員の名前はもちろん人数さえも挙げられません。このほか、院生同士の対局は名前が伏せられているけれど、今ではトップ棋士に上り詰めた方も居られるかもしれません)。

彼らが実戦で打った手をシューコー先生がどう評価し、「私ならこの一手」とする着点はどこか、そんな一問一答の中から独善流亜Qが印象に深く残った問題をご紹介したい。本書の書名はここでは控えさせていただき、数日後に「正解」(と言っても、対局棋士には別の考えがあるでしょうが、あくまで「シューコー先生の回答」を見つけていただくのが本稿の趣旨なので、よろしくご協力を願います)をアップいたします。その前に「自分はここだ」と思う読みの裏づけまたはひらめきの着点を掲示板でお示しいただき、暑さしのぎの糧にしていただければ幸いです。

亜Q

(2012.8.9)


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