リピーター客を中心に150人が参加〜第8回ふれあい囲碁大会か ら(その1)

覚さんと弁護士笠井棋士が主宰して今世紀初めにスタートした「箱根ふれあい囲碁大会」が第8回目を迎えた今回(11月25〜27日、03年から年2回開催)、参加者が150名に達した。事務局の安藤さんによると、これまで約300名の新規客が訪れ、そのうち1回しか参加していない客はわずか72名。全体の4分の3を超えるリピーター客に支えられて右肩上がりの成長を続けているそうだ。

日本棋院や関西棋院が主催するセミナーが低迷化傾向にある中で、地域支部主宰の「ローカル型」と少数の棋士が自主的に運営する「プライベート型」大会の人気が高い理由(勝手読みかもしれません)は既に本ページに書いた通り。中でも本大会は事務局の献身的努力に加えて、棋士では笠井長老が御目付け役、人望厚いレーブンが棋士招集係、そして“西のキムタク” クラハシ、“中部の氷川きよし”ヨーヘー、初参加ながらすぐに溶け込んだヨーコー(ご存知、NHK杯で時計係りも務める)、U20杯初代チャンピオン・セトダイキ 、さらに女流棋士人気ナンバー1をうかがう紅一点・カナ、インストラクターの伊瀬・木下夫婦が体力と知力の限りを尽くしてひたすら苦役(つまり打ち放題の指導碁)をこなすという役割分担がうまくいっているからだろう。(敬称略、以下同じ)

こうした雰囲気を醸成したのは「サトルの気合」だと私は確信している。今回はたまたま会期中日の26日に名古屋でNEC杯の手合い(25日は前夜祭)が組まれたが、手合いが終わるとすぐに箱根の大会会場に駆けつけ、宴会前の挨拶に間に合わせてくれた。しかもアマが最も喜ぶ打ち放題の指導碁のサービスを維持するため人気者のヨーコーを自らの代役に据える一方、本人も26日夜から指導碁に精励し、翌日と合わせて30局近くこなしたらしい。もちろん、レーブンをはじめ若手棋士はたっぷりその何倍かをこなしたことになる。

もう一つ挙げたいのは客層の広さ。私の経験した範囲では老若男女・棋力ともに最も広く分散している。特にハンス・ピーチがスタートして今はレーブンとセーケン(高梨八段)が講師を受け継いでいる「ハッピーマンデー」からのフレッシュ客が目立つ。そのせいか、六、七段クラスから級位者まで13グループに分かれて争われた大会入賞者(26名)のうち5名が女性。碁はオジサンの占有物から徐々に各層に裾野が広がりつつあることを浮き彫りにしているようだ。

次回開催は06年6月9〜11日の3日間(予定)、会場は箱根峠温泉の富士箱根ランド。5回以上の参加者には記念品も配られる。しかもプロ棋士は何度か指導碁を打つと(私のようなザル碁でも)アマチュアの棋風を覚えてくれて、次回からさらに高いハードルを課してくれる。こんなところにも、リピーター冥利に尽きる喜びを感じる。

ところで、本大会は素晴らしい“おまけ”に恵まれた。ウックン名人と死闘を演じた名人戦最終局を覚さん自ら解説、対局心理まで開陳してくれたのだ。しかも26日に再びウックンと闘ったNEC杯の感想も添えて。このくだりは気軽に書くわけにはいかない。少々時間をください。

亜Q

(2005.11.29)


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