第9回ふれあい囲碁大会

 6月9〜11日、第9回ふれあい囲碁大会に参加した。
 参加者160名、前回来たプロ棋士は全て来てくれた。
 今回の綺羅は、小林覚九段・笠井六段・下島陽平七段・瀬戸大樹六段・万波佳奈三段・孔令文五段・倉橋正行九段・武宮陽光五段、インストラクターの伊勢さん・木下さん、と星のごとく居並ぶ。
 孔令文五段は昇段したばかり。木下さんは現在NHKの囲碁講座で石田九段の相手役を務めている。

 今回の特筆は親しくしているTとKの二人であろう。ともに新たに三段と二段で登録したばかり。それがともに全勝優勝。あっぱれである。二人ともよく読む。手拍子でうっかり打ってしまったということがない。実力は紙一重、そのうっかりが敗着になる。
 わたしはそのうっかりで二敗、相手のうっかりで一勝。成績は三勝三敗に一不戦勝。
 特に酷かったのが二局目。かなりリードしていると思っていたが、二カ所の大石が危ない状態、それに気がつかず、更に別なところを深入りしたのだから、我ながらおめでたい。その十数目が持ち込みになりそうになり、あわてて凌いだが、そのための数手で、二カ所の大石が切れてしまった。そうなってはじめて気がつくとは。
 片方はなんとかイキを見つけたが、ついに一カ所が頓死してしまった。

 システムなど、毎回少しづつ工夫が加わり楽しみやすくなっている。それでも改善して欲しいところがある。
 指導碁は手空きの人を最優先して欲しい。その次は指導碁を受けた回数の少ない人である。遠慮がちな人は、なかなか指導碁を受けられないのだ。
 これは銀行の番号札のようなものを作ればできるはず。あるいは自分の名札を番号札の代わりとするとか。特に手空きの人のためには指導碁の時間として、席を空けていてもらいたい。もしその席で打っていた人は途中で切る(終える)べき。
 それから対局を放棄して、指導碁を打ってる人がいる。マナー違反で、笠井先生も毎回それをやめてくれといっている。これは強引に途中でも切るべきであろう。
 まあそういう管理は手間暇がかかるので大変だが、なんとかやってもらいたいものだ。次回に提案してみよう。

 その指導碁で先生は武宮五段。わたしが黒1を打ったときの先生のギョッとした顔は忘れられないだろう。
 それまでひとめ見ては打っていた先生の手が止まった。しばらく考えてから2以下を打つ。わたしは先生が考え込んでいる間、必死で笑いをこらえて下を向いていた。
 この手は前日の講義で万波佳奈さんから教わったばかりの手なのだ。「ここに来ていない方とこういう形になったら1の手を打ってぎゃふんと言わせましょう」わたしはそれを武宮さんを相手に実行した(^。^))
 武宮先生がギョッとしたのは1の手で、もし白J18と押さえたら黒6の予定だった。講評をきく時間がなかったので、図の進行の3以下はこれでよいのか判らない。おそらく先生がギョッとしたのは実力と手段の乖離ではないか。わたしの棋力でこんな手を考えられるはずがないということであろう。
 万波さんの話では、最近韓国で発見された新手ということだ。その後の打ち方は、棋力相応になって武宮先生を安心させたらしい。

 今回は梅雨入りしたばかり。二日目の朝に晴れたが、それ以外は雨ばかりであった。
 二日目の朝は早く目覚め五時に外へ散歩に出た。鶯の声が絶えず聞こえる。あたりは異様な匂いがする。車の排ガスによるスモッグか。まるで薬剤散布をしたようだ。そして轟々と響くモーター音。ホテルの設備かと思っていたが、ホテルを離れても絶えず響く。鉄道の通過音などらしい。
 30分ほどで、函南原生林。その中を歩いていると、郭公・小綬鶏(コジュケイ)・杜鵑(ホトトギス)・鶯などの鳴き声に混じって、啄木鳥(キツツキ)のドラミングまで響く。
 原生林から出たところで雉子を打とう立ち止まると目の前に雌の雉子がいる。位置を変えて見ると、そばには雄の雉子もいた。悠々と歩いていました。

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たくせん(謫仙)

(2006.6.14)


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