井山名人誕生

 囲碁界に現れた新星井山裕太八段が新しい名人となった。名人になると同時に九段に昇進する。今年20歳。史上最年少の名人である。
 14日と15日は、日本棋院幽玄の間(ネット)でずっと見ていた。もちろん途中で碁を打ったりしていた。
 立ち上がりはともかく、黒番張名人がいいと思っていた。だが、両対局者をはじめ、観戦者の多くは、ずっと白がいいと思っていたという。
  右は封じ手。

右下の白は活きたが、わたしには中央の白の活きが見えない。ところがプロには白の活きが見えている。生き死にの問題ではなく、どうやってうまく活きるかの問題で、ただ活きただけでは不満という話だった。

 わたしか唯一当てた手が、この手である。というより、黒はなぜここを守らないのか不思議に思っていた。わたしの感覚では、ここに白が来てようやく白がよくなったと思った。しかし、わたしが思っていたほど大きな手ではなかったらしい。つまり、その前も白がよかったということだ。
 このあたりは、お互いに手段が見えて織り込み済みのプロと、手が見えずここで勝負というわたしの感覚に、差がありすぎる。正しく観賞もできないほどの差だ。

 張名人投了の図、ここまできては大差である。盤面でも白がいい。

 名人になるのは、形式的には名人襲位式で允許状を手渡されてから。しかし現実的には、今日から名人と呼んで間違いではない。
 挑戦者の決定リーグでは8戦全勝で去年に続き挑戦者になり、二度目の挑戦は4勝1敗で名人位を獲得。
 井山さん、おめでとうございます。

謫仙(たくせん)

(2009.10.17)


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