この場面では黒は盤面で10目程度勝っていると判断していた。
負けるときは何をやっても勝てない。見落としがあって負けるのは当然としても、取ったと思ったら、劫になる手があってコウダテは相手が多かったとか。シチョウで取ったら、シチョウアタリが大きくて損したとか。読み勝って大石のとどめを刺したと思ったら、代わりの外壁が厚くて大きいとか。
先日は終局と思って駄目を詰めたら、アタリになって二十目を越える大石が死んでしまった。
ある日のネット碁では、相手が駄目を詰めたので、終局サインを送ると、相手の手番になって、手があった。
こうすれば相手は投了という場面が何回あっても、逆の方に石が行ってしまい、とどめを刺すのが先延ばしになって、結局逃げられてしまう。とどめを刺しても、安心して手がゆるんで足りなくなる。
今回など負けパターンの典型であろう。
白▲の手は勝負手というのも烏滸がましい、投げ場を求めたと言うべきか。さすがに手を抜くことはできなそうだが。
安心して打っていると、石が思いもよらぬ方へ行く。黒1などそっぽを向いている。劫になったが、何とか一眼にした。
この場面で白はあと一眼は作りようがない。
白1のとき一目抜いてしまえば、オワではないか。それを黒2と引いてしまった。黒4になっては、大石を取っても一目を抜かれたのが大きくて、黒は足りないかも知れない。だが聖姑も確信は持てなかったらしく、劫にした。
結局黒は上辺を突き抜き、左上4目を取ったものの、白は大石が繋がり、黒は盤面でも勝てなくなってしまった。
この折衝、こう打てば終わっていたというのが、五六回はあったなあ。それを全部逃した。この碁のあとは「またも負けたか八連敗」「死屍十六連敗」状態。
聖姑はにんまりしてとどめを刺しに来た。
「不思議よねえ、どんなに負けていても平気で打ってると、謫仙さんは必ずかってに転んでくれるンだから」
必ず、は余計だ!
謫仙(たくせん)
(2008.1.4)