今ごろになって思い出した。
7日に行われた「リコー杯プロ・ペア碁」1、2回戦(九路盤決戦を含む)
終了後、私はオーメン、リッセー、チクン大棋士らにも声をかけていた。
早い話、私は女流とばかり口をききたがるような軽薄な輩とは断じて違うのだ。
まずは、自在な発想が大空を舞うような糸の切れた凧のようなオーメン棋士。
私「この際、七大タイトルを一つ一つ賞味していくのも乙なものかと――」。
オーメン前本因坊「デヘヘヘ〜〜、難しいけれど何とかがんばりマッス!」。
何だか松井選手みたいだが、この12日チクン大棋士から王座位を見事奪取。
次は私のようなザル碁党には、どこが強いかさっぱりわからんリッセー棋士。
私「いつまでも童顔の先生にそっくりな男の子さんはいくつになりましたか」。
リッセー棋聖「もう16歳になりました」――それだけ。ちょっとそっけない。
この時、脇から小学生らしい女児登場、10cm角ほどのサイン色紙を差し出す。
にっこりリッセー棋士、いかにも書き難そうな小さな紙に丁寧にしたためる。
右脇に日付とリコー杯云々、中央に「誠」、左脇に棋聖王立誠とフルコース。
独身時代、結構遊んだらしいリッセー棋士は、今や極めつけの子煩悩だった。
最後は私のご贔屓、いまだに子供のオモチャで遊んでいそうなチクン大棋士。
熱戦後かなり時間が経っているのに、興奮冷めやらず髪は逆立ち赤鬼のよう。
終了後、勝ち抜き棋士へのインタビューでは、案の定、一人だけ過激な発言。
「イノリンもボクも、この1年間、この日のためだけに精進してきたのです」
「遊び半分で参加された他の棋士と同列に扱ってもらっては困るんです!」。
いやぁ、虚飾を取り去ったこの言葉、男の真心、いいねぇ、好きですねぇ。
はは〜ん、5日後に行われた王座戦ではすっかり擦り切れていたのですね。
いい機会だ。私はかねがね気になっていたことをズバリ問いただした。
「ところでチクン先生はインターネットの碁の掲示板などは見るのですか」
チクン大棋士「いやぁ、あんまり〜〜」。何だか口をもごもごさせている。
私「では、ガンモさんをご存知ですか?」チクン大棋士「ン、ガンモ?」。
私「ほら、今日見えている中沢彩子さんですよ」チクン大棋士「アァー」。
「彼女は普段は寡黙で出不精ですが、突如、行動派少女記者に変身するのです」
「あなたの“ヒゲダンス”をひそかに写真スクープする心算のようです」。
私は口からでまかせを言ったのだが、「ギャアハハ〜〜」とやたら上機嫌。
まさか、ガンモ姉に濡れ落ち葉の如くつきまとって迷惑かけないでしょうね。
ところで私なら、だれも聞いたことが無いと言われる彼の歌声を盗聴したい。
そして世間をアッと言わせるのだ。「飾りじゃないのよ、涙はハッハ〜ン」。
亜Q
(2002.12.13)