晩婚三連星

2013年12月25日発売の『週刊新潮』に剱持丈八段結婚のニュースがお二人のツーショット写真付で掲載された。11月18日に入籍し、明けて2014年2月16日大安に結婚披露宴を東京・赤坂のホテルで披露宴の運び。「いやぁ、僕は今43歳。これまで結婚しなかったのは、42年間フラれ続けたからですよ」と、いかにも剱持先生らしいコメントで記事が始まる。新婦との出会いは7月、囲碁教室のお弟子さんに紹介された35歳の美人ピアノ講師。「今回ばかりは速攻、8月に入って一気に勝負に出ました。フラれっぱなしの人生から卒業したかった」と"剱持節"が絶好調だ。

囲碁界(あるいは将棋を含む勝負の世界)では、どちらかと言えば早婚派が多い。今年中にも七冠同時制覇を狙う井山六冠をはじめ、張ウ、羽根、山下らの四天王(高尾さんも20代で結婚している)が目立ち過ぎるからかもしれないが、その対極を行く40代での超晩婚も最近少なくない。2011年12月の高梨聖健八段(相手は井沢秋乃四段)をきっかけに、この12月初めに開かれた「ふれあい囲碁ファンフェスタin箱根」では高梨八段と共に「東の貴公子・西のキムタク」と並び称された倉橋正行九段が瀬戸八段と共にサプライズ婚約発表された。高梨・倉橋・剱持と続く40代棋士結婚3連発だ。

私事で恐縮だが、実は亜Qも38歳で長女、40歳で長男を得た晩婚派の一人。その私が、千寿会講師に来られていた高梨先生に「ボクの結婚年齢を抜かないでね」といつも警告していた頃、もう7、8年ほど前になるだろうか。電車の中で二人きりになった時、高梨先生から「亜Qさんは結婚を決意した時、どう考えたか」と質問されたことがある。こんなことを聞かれた男は誰でもカッコつけたくなる。「碁と同じです」と私は答えた。「いったん石を置いたら"待った"はできない。局面はがらりと変わる。だからボクはなかなか決断できなかった」と。その時、高梨先生はしみじみと共感されていた(ように私には思えた)。そして高梨先生は私の記録を軽々と破り、満を持して井沢先生と結婚されたのはご承知の通り。

では、碁には早婚と晩婚とどちらが有利だろう。相手が同業の棋士と碁を知らない素人ではどうか。歳の差はどのぐらいが適切か。ま、この種の疑問は一生懸命考えても所詮わかりゃしない。早打ちか長考派かどちらでも強い人は強いし、私はどうせザル碁だし。

亜Q

(2013.12.29)


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