先生と「雅」

2005年の文化交流使の杉葉子氏

雪の舞う寒い日となった3月9日火曜日午後「第7回文化庁文化交流使活動報告会」が開催され、足を運んで参りました。ご存知のとおり千寿先生は平成20年8月より翌年3月まで文化交流使として西欧5ヶ国で活躍されています。一時帰国の際には伺う事もありましたが、やはり正式な場で聴きたいものです。

ほんの数日前までパリにいらした先生ですが、疲れを感じさせないいつものスマイルで明るくエレガントに登場されました。紫がかったピンクのスーツ姿が照明に映えます。パンフレットに載っている表題は「日本マンガから観た日本・碁」。こういう催しはとかく難くなりがちですが、先生は15分と限られた時間に、美術館で展示されていた源氏物語の織物の中に囲碁の対局シーンを見つけたエピソード、海外での「ヒカルの碁」の影響の大きさやマインドスポーツとしての今後などを盛り込み、囲碁を嗜まない聴衆にも配慮した内容となっていました。

「勝敗至上主義の今だからこそ、マナー、潔さを伝える意義を感じています」と力強く訴えられた流れでしたでしょうか、先生は求める囲碁の文化性を「雅」と譬えられました。一昨年の夏壮行会の挨拶を締め括ったその言葉を報告会で聴くと、この言葉に寄せる先生の気持ちの大きさを思います。

文化交流使の仕事は一段落となりましたが、囲碁普及活動はまだまだこれから。13日に千寿会でお会いすると翌週には再びパリに発つとおっしゃいます。いつでも進行形の千寿先生、健康と無事を願っています。

Etsuko

(2010.3.15)


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